午前三時の合唱団

だいじな作業をしていて、
気づくと、午前三時。
そろそろ戸じまりをして寝なくっちゃ。

そう思って、ガラス窓に近づくと
遠くから、ほんとうに遠くから
かえるの合唱がきこえました。

この町は、どこもかしこも
家がぎっしりならんでいて、
そのあいだにぽつん、ぽつんと
田んぼや畑があるだけなのに、
それでもかれらは、しっかり生きて、
なかまと歌で交信しているようなのです。

かすかに、かすかに聞こえる、
歌声のかさなり。
けろけろ、でもなく、げろげろ、でもなく
「ワゴワゴワゴワゴ…」と、
どことなくやわらかい響きでした。