だれかさんのお月見


ちょっと出かけてきた、帰り道、
月が、くっきりとまぶしくて。
見上げながら、川沿いの道を歩いていました。
 

家のそばの小さな橋を
わたっていこう、とすると、
橋の上に、ひとかげがありました。
 
そのひとも、じっと、月を見上げているのでした。
気楽そうに、橋のふちに背をもたせて。
 
そのだれかさんのお月見をじゃましないように、
ちょっと回り道してから、帰ってきました。

カーテンのむこうに。

 
カーテンのむこう、に、
 
そらの気配、ほんのり。

透明な水をごくごく飲みながら

 
透明な水をごくごく飲みながら
ふと、グラスをのぞきこんで思う。
 
――なんてきれいな飲み物なんだろう、と。